アジアでは「口コミ」が購買の王様だった——今はLiveが主役に

アジアでは「口コミ」が購買の王様だった——今はLiveが主役に

アジア各国では長らく、知人・友人の紹介や口コミ——いわゆる「人づてマーケティング」——が購買行動の中心にありました。広告よりも「信頼できる人からの推薦」が圧倒的に強く、コミュニティのつながりが消費行動に直結する文化が根付いていました。「誰が紹介するか」が「何を売るか」よりも重要だったのです。

スマートフォンとSNSの普及により、この口コミネットワークはリアルからオンラインへシフトしました。WhatsApp・Facebook・LINEのグループでの情報共有が「新しい口コミ」となり、推薦の影響力はむしろ拡大しています。そしてさらに一歩進んだのがライブコマース(Live販売)の台頭です。TikTok Shop Live・Shopee Live・Instagram Liveなどを使ったリアルタイム販売は、中国で爆発的に広まった後、東南アジア全域に急拡大しています。

TikTok Shopの東南アジアにおけるライブ販売市場は2022年の約44億ドルから2023年には約163億ドルへと、わずか1年で約4倍に成長。購買行動のパターン自体が「検索→比較→購入」から「視聴→共感→即購入」へと構造的に変化しています。

シンガポールのライブコマース:3大プラットフォーム

シンガポールでは人口の80%以上がアクティブなSNSユーザーであり、特に18〜35歳の若年〜中年層が購買の主力です。主要プラットフォームはそれぞれ異なる強みを持ちます。

TikTok Shop Live

シンガポールで急成長中のプラットフォーム。Samsung Electronics Singaporeなど大手ブランドも公式ストアを開設し、ライブ販売を本格展開しています。2025年Q1における最大カテゴリはビューティー・健康系で、TikTokインフルエンサーのアフィリエイトプログラムを活用するブランドが急増中です。あるスキンケアブランドは1回のライブで2時間・3,000人視聴・400件超の注文を達成した事例も報告されています。また別のブランドはTikTok Shop参入初月にSGD100万(約1億円)の売上を記録しました。Epitexなど寝具・ライフスタイルブランドも毎日LIVE配信を行う体制を2026年までに整備しています。

Shopee Live

東南アジアで最も定着した老舗ライブコマースプラットフォーム。シンガポールでのカテゴリ別GMV(流通総額)では「ホーム&リビング」が最大で、次いで「健康・美容」が続きます。11.11・12.12などのメガセールイベント時にはライブ視聴数が平常時の数倍に急増します。健康・美容ブランド「The Purest Co」はShopee Liveとアフィリエイトマーケティングを軸にした戦略で「シンガポールブランド・オブ・ザ・イヤー」を受賞しており、ライブコマース活用の成功モデルとして注目されています。

Instagram Live / Facebook Live

中小ブランドや個人セラーが主体。ローカルF&B(飲食)・手作りアクセサリー・ニッチ商品に強く、既存フォロワーとのコミュニティ感を活かしたリピート購入に効果的です。大手プラットフォームほどの即時購買力はないものの、ブランドロイヤルティの構築には高い効果を発揮します。


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